残置物とは?残置物の撤去方法や処分を業者依頼するメリットをご紹介

賃貸経営をしている大家さんの悩みでよく聞くのが「残置物」の取り扱いです。
残置物は正しく処理をしないと大きなトラブルとなる可能性があります。今回は残置物についてや、残置物の撤去・処分の方法を解説していきます。
残置物とは
残置物とは、退去した入居者が部屋などに残していった物の事を指します。家具・家電などが多く、事務所などの場合はパーテーションなど、貸し出し時にはなかった物の事です。
引っ越しの際に、部屋に何かを残していくことは原状回復という面でみても基本NGとされていることが多いでしょう。入居者から事前相談の上で許可を出した物については残していくことも可能ですが、やはり基本的には退去時には元の状態に戻してもらいたいものです。
残置物の原因
残置物が発生する原因はいくつかあります。
前入居者が死亡したとき(孤独死など)
1つは前入居者が急死や、孤独死などした場合に残置物が発生します。
通常、住人が亡くなった場合は同居している家族や相続人、親族などが遺品整理にあたりますが、身寄りのない方などいわゆる孤独死の場合は家具・家電がそのまま放置された状態が続きます。
特に急死などの予期できない亡くなり方をした場合は、直前までの生活に使用していたものや、とくに生ゴミなども残されるため、早めに処分しないと悪臭や害虫などの原因になります。
前入居者が転居の際に残していった
2つ目は、前入居者が転居の際に処分・撤去せずに家具・家電を置いていくパターンです。
特にエアコンや室内照明・ガスコンロなどの取り外しが面倒なものなどは、そのままの状態で残されることが多く、経験の有る方も多いのではないでしょうか。
また、前入居者によってDIYなどで後付け足された棚などの家具や、パーツなども残置物に含まれます。
DIYによって、もしかしたら利便性はあがっているかもしれませんが、原状回復義務には沿っていない形です。
前入居者の夜逃げ
3つ目は、前入居者の夜逃げで物が残ったパターンです。
あまり頻繁に起こるものではないですが、孤独死のパターンと同様に直前までの生活用品やゴミなども残されるため、悪臭・害虫を防ぐためにも早めの対処が必要です。
残置物はどういったものがあるのか
一般的によく残置物として残される物にについて紹介します。
家電
- エアコン
- 洗濯機
- テレビ
- 冷蔵庫
- 設置型のガスコンロなど
エアコンや洗濯機などは、撤去が面倒な上、故障していなければ次の住民が使う可能性もあるので置いて行っても良いだろうという勝手な思い込みで残していく方が多いようです。
家具
・大型の収納家具
・DIY製の棚
・物干し竿
・布団など
解体や取り外し、持っていくのが面倒なもの、設置したこと自体を忘れて置いていくことがあるようです。
その他
孤独死や夜逃げの場合は日用品、衣類、生活ゴミなどが残置物として残されます。
残置物によるトラブルとは
比較的きれいで、使えるものであれば次の入居者にとってはありがたいかもしれません。ですが、残置物は法律的な面でも扱いづらく、トラブルに発展することもあるため注意が必要です。
所有権の問題
前入居者がオーナー(貸主)に許可を得て置いていった残置物は、基本的にオーナーの所有するものとして扱われます。
許可なく置いていかれた残置物に関してはどうでしょう。前入居者が「要らない」と思って置いていったとしても、所有権は前入居者が持つことになります。
よくあるトラブルを紹介します。
勝手に処分すると罰せられる可能性がある
許可なく置いていった残置物は、前入居者に所有権があるため、たとえオーナーでも勝手に処分することができません。
もし仮に前入居者が忘れていたり、見落としてしまっていたりなどで「意図せず」置いていってしまった物の場合、勝手に窃盗罪や器物破損罪などで訴えられることもあります。
次の入居者とのトラブルとなる場合がある
エアコンなどの残置物をそのままの状態で次の入居者に部屋を貸し出した場合に起きやすいトラブルです。
許可なく置いていかれた残置物においては、故障した場合、オーナー(貸主)に修理義務はありません。次の入居者からすれば、最初から部屋備え付けであったものなので、元々オーナー所有のものだと思っても無理はありません。
それ故に、誰がその残置物の修理費用を負担するのかなどオーナー(貸主)と次の入居者の間でトラブルになりやすいようです。
残置物をそのままにした状態で物件を貸し出す場合は、予めきちんと通達する必要があります。
残置物のトラブルに巻き込まれないために
所有権がないため勝手に処分できない残置物を片付けるにはどうしたらよいのでしょうか。
まずは前入居者に連絡する
前入居者と連絡が取れる場合は、連絡した後どうするかを決めましょう。
きちんと話し合った上であれば勝手な処分とみなされないため、処分することができますし、仮に忘れ物だった場合は持ち主へ戻すこともできます。
この場合、電話口などの口頭で残置物処分の同意を得るよりも書面などに残すようにしましょう。処分に費用が掛かった場合は、前入居者が負担することとなります。敷金等がある場合はそこから差し引くことになります。
相続人や家族・連帯保証人へ連絡する
前入居者が亡くなってしまった、夜逃げしてしまった場合は当然本人とは連絡が取れません。その場合は、相続人や家族もしくは連帯保証人に残置物について相談してから処分しましょう。
この場合も、口頭で残置物処分の同意を得るよりも書面などに残すようにしましょう。
契約者本人が何らかの事情で連絡が取れない場合は、連帯保証人や緊急連絡先となっている人と連絡を取り、その人たちに原状回復してもらうのが理想的です。
弁護士に相談する
前入居者に連帯保証人がいない・身寄りがない場合は弁護士へ依頼し法的な手続きを踏む必要があります。身寄りがない前入居者が亡くなった場合、相続財産管理人の選任申し立てが必要です。相続する人が誰もいないからといって、勝手に残置物を片付けることはできませんので注意しましょう。
また、身寄りがないと思っていても、調査を行ったら実は親族がいたというケースはよくあるようです。しかし戸籍を調査するなど、複雑な手間がかかります。
できることなら、賃貸借契約を結ぶ前に契約者の親族の連絡先などの確認をしておきましょう。
弁護士への依頼は費用も大きくかかるため、あくまでも最終手段となります。
賃貸契約時に残置物に関する取扱いを決める
そもそも残置物についてはトラブルが発生しないように事前に取り決めを行うのも一つの方法です。特に高齢の単身者に物件を貸し出す場合は、いざという時の残置物の取り扱いについて対処方法を決めておくことを推奨します。
残置物を撤去(処分)する方法
残置物が処分できる状態になったら、どのように処分を進めればよいのでしょうか。大きく3通りの処分方法があります。
残置物を本人や相続人・連帯保証人に処分してもらう
前入居者や、その家族、連帯保証人と連絡が取れた場合は、なるべく処分してもらったほうがトラブルも少なく済みます。
ただし前入居者が亡くなっており、親族とも疎遠になっている場合は連絡が付かないため、その場合はオーナー(貸主)が処分を行う必要があります。
残置物を貸主(オーナー)が処分する
残置物撤去について貸主が行っても良いと決まった場合は、普通ゴミから粗大ごみまでオーナーが処分を行います。残置物が少数の場合は貸主(オーナー)自身が手を動かし、処分を行なっても良いかと思います。時間や手間はかかりますが、処分費用などは抑えられるメリットがあります。
ただし、生活ごみがある場合には、燃えるゴミ・燃えないゴミなど自治体に応じて分別を行った上で決められた曜日の朝にゴミ出しをする、粗大ゴミで処分をする場合には、事前に粗大ごみ回収の予約をした上で回収当日に指定の場所まで搬出する必要があります。
エレベーターのないマンション・アパートの場合は重たいものを運ぶ際など、怪我をする危険性もあるため、一人で行なうことが難しい場合もあります。
残置物の処分を不用品回収業者に依頼する
不用品回収業者に、ゴミの処分から不用品の処分まで丸々お願いする方法です。
費用はかかりますが、ほぼ全ての作業を行ってくれるため時間や手間をかけたくない場合におすすめです。
不用品回収業者は、家具・家電などの不用品回収だけでなくゴミ屋敷の清掃も行っている業者もあるため通常の家庭ゴミの処分も依頼できる場合があります。
なにより、片付けのプロに任せることができるためスピーディーに作業が終わります。
次の入居者を募集することも考えると、早く作業が終わるのは大きなメリットです。
不用品回収業者による残置物の撤去の費用相場
ここでは、単身者の1Rを例に残置物撤去にかかる費用をご紹介します。
あくまでも参考になりますので、気になる方は実際に問い合わせ・見積もりをすることをおすすめします。
生活ごみから家具家電ほぼすべての処分を依頼する場合
およそ35,000円~100,000円(単身者の1Rを想定)。
かなりの金額幅があると感じるかもしれません。不用品回収業者の料金は引き取る量や搬出状況によって金額が大きく変わります。
同じ大きさの部屋だとしても住んでいる人によって当然使っているモノの種類や量は変わってくることや、1階からすぐ目の前の道路に運び出すのと、3階から階段で降ろし、細い路地を通って100メートル程離れたトラックの駐車場所へと搬出する場合は、量が同じでも金額は変わります。
家具・家電のみの場合
およそ30,000円~80,000円(単身者の1Rを想定)。
こちらも上記と同様の理由で大きく金額は変わります。
家具・家電の中で再販できるような人気ブランドのものや製造年が新しいものがある場合は、買取りしてくれるケースがあり、その場合は費用と相殺することができ安く済む、もしくは無料やプラスになるという可能性もあります。
費用を少しでも抑えるポイント
まずはものの量を減らすことです。
不用品回収業者の料金は基本的に量によって変わります。自身で処理できるもの、例えば通常のゴミに出せる燃えるゴミや燃えないゴミなどは、行政のゴミ回収に出すなどすれば無料で済みます。
不用品の中に再販できそうなものがある場合には、買取りをしてもらうことで料金と相殺することが可能です。買取りについては不用品回収業者の中で取り扱っている業者とそうでない業者があるため事前に調べておきましょう。また取り扱っている場合でも、どの種類に買取り意欲が高いなど業者に差があるため、この点も問い合せ時に確認しておくのが良いでしょう。
もっとも重要なことは、相見積もりを取ることです。
不用品回収サービスの料金は主に、不用品の種類と量、搬出状況によって変わることは前述した通りです。しかしこれらに一定の基準などはなく、各業者がそれぞれ料金設定を行っています。よって同じ現場を見積りしたとしても、業者毎に金額が異なります。
不用品回収業者の中には残念ながら悪徳な業者もおり、高額請求をしてくるケースもあるため、まずは相見積もりを取って相場感を把握するとそういった被害に合わずに済みます。
残置物の処分は片付けドクターにお任せください
片付けドクターでは1品からゴミ屋敷まで、年間5000件以上の圧倒的な作業実績によるノウハウで様々なケースに対応致します。また予約状況にもよりますが、最短で問い合わせ当日にお伺いすることも可能です。
片付けドクターでは作業前に明確な金額をお伝えし、ご了承いただいた上で作業を行いますので、見積もり時と費用が異なるなどのトラブルもありません。
また万が一作業中に家や家具を傷つけてしまった場合には、最大3000万円までの補償(三井住友海上賠償責任保険)をさせていただきます。万が一の場合も責任を持って対応させていただく体制を整えております。
まずはお気軽に電話やメールなどでお問合せいただければと存じます。
残置物の処分に関するよくある質問
Q.不用品回収業者では残置物を一時的に保管してくれますか?
A.そういったサービスを行っていない業者がほとんどでしょう。
個別に交渉することで可能な業者があるかもしれませんが、基本的には一時預かりサービスを行っている不用品回収業者は無いと言えます。一時預かりであれば引っ越しを伴う際は、引っ越し業者の中にはこのようなサービスを行っている業者があります。またそれ以外では、トランクルームなどのレンタルスペースサービスなどが考えられますが、どれも預ける日数が長くなればその分費用も高くなります。
Q.処分の許可を得た残置物の買取りは可能ですか?
A.口頭での許可の場合はトラブルとなる可能性もあるので、そういったリスクも踏まえるとおすすめしません。書類などで前入居者が残置物の所有権を放棄したことを証明できる場合には、賃借人に所有権が移るため買取りしてもらう事も可能と考えられます。
まとめ
今回は残置物の処分方法について解説しました。元の持ち主と連絡が取れないからと勝手に処分するとトラブルに巻き込まれるため、残置物は慎重に扱う必要があります。
残置物を処分することが決まった際には、是非、不用品回収業者の活用を検討してみてください。